川湯→摩周湖→釧路→帯広へ
知床峠を制覇して、なにか目標を失った自分は、知床峠を越えて羅臼には行かず,ウトロに戻ってきた。荷物をウトロの民宿に預けていたのでそうせざるを得なかったわけだが。
これから摩周湖や屈斜路湖を見て釧路に抜けて、釧路からは電車の旅に切り替えようと考えている。
とりあえず知床斜里まで自転車で戻り、そこから川湯温泉まで電車で輪行することに。
ボンズホームのおかみさんと可愛い小さいお子さんに見送られ、出発。
一人分の食事だけつくるのも大変だっただろう。気を遣ってくれたのか、おかみさんが食事の時は話し相手になってくれた。お世話になりました。
ここで熊除けの鈴を購入。知床を発つのに今さら、って感じだが記念に。500円くらい。
昨日来た道をまた戻る。今度オホーツク海を見るのはいつなんだろう。
ウトロのオロンコ岩。でけえ。それだけ。
だんだん、ちょっとやそっとの名所では感動しなくなってきた。
今回の旅初めての輪行。自転車の前輪を外し,専用の袋にパッキングして電車に乗る。慣れると5分くらいでできる。
釧網本線にて知床斜里駅から川湯温泉まで乗る。
電車の本数が少ないのでだいぶ待った。待合室でビビンバを食べる。
電車は一両編成のワンマンカー。運転手さんのご厚意で、運転席横のスペースに自転車を載せてもらう。
斜里岳を左に見ながら、釧路方面へ南下。電車にとってはきつい勾配をゆっくりと登っていく。
電車の中で隣の観光客のおじさんと北海道の魅力を語りあった。
見知らぬ人との会話が億劫じゃなくなるのはなぜだろう。
わりとすぐに川湯温泉駅に着いた。外人さんがバスの運転手に英語でいろいろ聞いているが、意思の疎通はできてないようだ。
どうやら川湯温泉駅から川湯温泉街に行くバスに乗らなきゃいけないことが分かってない。これが会話の食い違いを生んでいるようだった。
たしかに、川湯温泉駅から降りたらそこが川湯温泉だと思うよね。
今日はこの旅初めてライダーハウスに泊まる。民宿ばかりでは、いくら安いといっても金がもったいない。
川湯温泉駅から川湯温泉の街までは数キロある。途中で硫黄山が見えた。
火口のかなり近くまで行くことが出来るらしいが、明日摩周湖や屈斜路湖に行くついでに見て回るつもり。
川湯温泉は硫黄山が近いことから北海道有数の温泉街として栄えている。
今日はライダーハウス蜂の家というところに泊まる。800円。金額はふつうかな。
ライダーが三人、チャリダーは自分含めて二人だった。女性は別部屋なので、男4人で六畳一間に川の字で寝る。結構狭い。
ここで知り合ったライダーはスペシャのロードにデュラエースを装備、SPD-SLでガンガン走るストイックライダーだった。
人当たりはとてもよくて、自転車談義に花が咲いた。
バイカーだけだったらちょっと疎外感を感じたかもしれないので、チャリダーがいてよかった。
ライダーハウスに荷物を置いてさっそく温泉に向かう。
「温泉街にきたらホテルなどの内湯ではなく外湯に入れ」
そういう教訓を聞いたことがあるので、地元の人が利用しているような安い公衆浴場を探す。
料金200円のぼろ~い公衆浴場。町の真ん中、郵便局の隣にある。
ちなみにすぐ近くに無料の足湯がある。
200円だけあって中はぼろいし、やや汚い。もとい、風情がある。
シャワーなんて贅沢なものはなく、勢いのないカランだけ。
もちろんシャンプーやリンスは置いていない。
温泉成分の影響か、床の湯の流れた跡が変色している。
同じような温泉が多い中、個性が際立っている。
休憩室のノートなどを見たところ、幾度か新聞でも紹介されている有名温泉らしい。
ノートにいろいろな人が感想を書いており、熱烈なファン、リピーターがいるようだ。
公衆浴場と同じく、町の中心、郵便局の向かい側に足湯がある。
この町は標高が高いせいか、結構寒かった。
そんな中、足湯は手っ取り早く体を温めるのに最適。
街にはいくつか足湯があるそうだが、ここが一番評判がいいらしい。
たしかに夜中行ってみたら、女子高生がふたりほどおしゃべりしながら入っていた。さらに増えてきたのでそそくさと退散。
朝の5時ごろこのあたりに行けば、無料で硫黄山への散策ツアーがあるそうなので興味ある人は是非。
ライダーハウス蜂の家の隣にあるお多福食堂で晩飯を食う。
セットメニューを注文し、ライダーハウスでもらった割引券を使う。
セットなのに、通常サイズのオムライスをサービスしてくれた。ありがとう。
夜、コンビニに買出しに行ったついでに街をぶらぶらしていると、土産物屋のひとつにちょっとした人だかりが。
近づいてみると、キタキツネがつながれていた。
まだコギツネのようだ。
可愛かったが決して触ってはいけない。エキノコックスという寄生虫がいるから。
それにしてもキタキツネって飼っていいのだろうか??
川湯温泉は摩周湖と屈斜路湖の中間地点に位置し、両方へのアクセスに便利。
さっそく自転車で屈斜路湖へ向かう。
緑の回廊を抜けて屈斜路湖が右側に見えてくる。
最初に立ち寄ったのは足湯。
ここは自分でお気に入りの大きさに地面を掘って、湖水を引き入れてお湯を適温にする。
一応普通に全身浴できそうだが、観光客やキャンパーが結構多いらしいので、ほとんどの人は足湯ですますようだ。
自分がここに到着したのはまだ6時くらいだったので全身浴してもよかったが、めんどくさかったので人が掘ったであろう足湯を使わせてもらった。
早朝でかなり寒かったので、良い休憩になった。
看板の日付は7月31日となっているが、この日は8月1日だった。
かなり熱かった。
それに、ベンチが砂の上にあるので体重のかけ方を間違えるとひっくり返るおそれあり。
池の湯。足湯からさらにちょっと行ったところにある天然の無料露天風呂。
湖とつながっている。
ここはツーリングガイドにあったから行ってみたのだが、結構見つけるのが難しい。松の屋だかなんだかのホテルの敷地内にある。
だれもいなかったので入ってみた。
…藻がすげえ。ちょっとぬるい。
藻すくい用の網があるのでそれを使えばいいだろう。
滑りやすいので注意。
ちなみに男女別の更衣室もあるので使いやすい。
屈斜路湖を離れ、道の駅摩周に立ち寄る。
途中で、昨日同泊したバイカーの一人に再会。
やっぱり考えることは同じか。
ここで情報収集し、ついでに併設の足湯にも入って、いざ摩周湖へ出発。
南側からのアプローチだが、直線のだらだらした登りが続く。
が、勾配自体はたいした事は無い。
ふもとのコンビニでMTBを二台見た。車重があるので大変そう。
人の心配をしている場合ではなかった。
道がカーブを描き出し、勾配がぐっときつくなる。
なんだこれ、聞いてないぞ。
しかも幅員が狭いところ、見通しの悪いところがあり、後ろから来る観光バスが気になった。
なんとか摩周湖第一展望台に到着。
急いで湖面を見てみると、霧がほとんど無い!!ラッキーだ。
霧の摩周湖といわれており、もし見えなければ裏摩周に行かなきゃな、と計画していたからだ。ちなみに裏摩周展望台はより低い位置にあるので霧が出にくいらしい。
とにかく大急ぎで写真を撮ってもらった。
透明度や色の感じが上手く出ていないのが残念だ。
是非自分の目でご覧いただきたい。
第一展望台から第三展望台に向かう。こちらはより高いところにある。
わずかな時間の間に霧が出ていた。摩周湖は全然見えない。
さきほど急いで写真を撮ってもらっておいてよかった。
ただ、摩周湖を背に西側をみてみると、硫黄山とその奥の屈斜路湖が見事なパノラマとなって眼前に広がっていた。
あとはお楽しみの下りだけ。
知床峠のウトロ方面と異なり、ここの下りはくねくね道なのでスピードは出せない。
途中で死にそうになりながら登って来るチャリダーに遭遇。ちょっと太めの方。
自分が登ってきた道よりも、川湯温泉方向からの登りの方が勾配がきつい。
彼は無事に着いたのだろうか。
再び川湯温泉まで下ってきた。あっという間だった。
昨日は素通りした硫黄山の見学に行く。
硫黄山は文字通り硫黄の匂いが立ち込めていた。いくつかの火口に限界ギリギリまで近づける。ただし噴煙がすごい。
写真は小さいが、観光客がかなり火口に近づいて行ってるのが分かる。
温泉玉子を売っている人たちがいた。「たまごたまごたまごたまご…」、と独特の売り文句でセールスしていた。つーかばら売りしてくれよ。5個も食えないよ。
再び川湯温泉駅から輪行。
最初に来た時は気づかなかったが、この駅にも足湯があった。
列車に乗って釧路湿原を進む。この路線にはノロッコ号という観光列車があるが、自分は時間の都合上,普通列車に乗った。それでも景色を楽しむ余裕はあった。
釧路湿原を満喫し、列車は釧路駅に到着。
もう夜の七時だ(写真は次の朝撮ったもの)
観光案内所はしまっていたが、ホテルの案内表があったのでこれを参考に宿を決める。
ちょっと離れたところに素泊まり3800円のホテルがあったので、ここに決定。
正直言って、ぼろいし、変なにおいのするホテルで、ユニットバスすらなかった。
ちょっと失敗。
釧路といえばやはり和商市場だろう。
ここではいろいろなネタを好き勝手に選んでごはんにのっけることができる勝手丼が有名。
さっそく市場の中でご飯を買って、いろいろ回る。
やはり市場の人に勧められるのは単価の高いいくら。そのため、試食で手のひらにたくさんいくらを乗っけてくれる。
ここの味見で3回ほどいくらを食べたので、結局買わなかった。
自分で何を買ったか正確に覚えてないが、甘エビ、ホタテ、タコ、イカ、エンガワ、サンマ、炙りサーモン、キングサーモン、カニ、玉子など。
ご飯も入れて1500円ほどだったと思う。もっと高いという印象があったが、意外と安く収まった。
おそらくいくらやウニが入ってないからだろう。
勝手丼を食べて、一通り市内観光したので、もう次の町へ行きたくなった。
これが旅人の陥る病気だろうか。
ここで自転車はサイクリングヤマト便を使って実家に送り返す。
和商市場の二階がクロネコの営業所だったので便利。
北海道自転車旅行はここで終了。走行距離は1500キロメートルほど。
ここからは北海道電車旅行に切り替わる。
身軽になって根室本線に乗る。これまた一両編成のワンマンカー。さわやかなカラーリング。
始発の釧路では多くの人が乗り込んだが、途中の駅で一気に掃けた。
厚内駅。ドーナツとお茶。
電車の旅も楽しい。
帯広駅に到着。
今日泊まるところは素泊まり2800円の激安ホテル。
やはり激安には理由がある。
釧路のホテルよりもさらに汚いし、タバコくさい。
かつてユースホステルだったらしい。どこもかしこも全然掃除されてないし、異常に壁が薄い。
じぶんのように清潔感が麻痺した人間、金に目がくらんだ人間にはお勧めの激安宿だが、通常の感覚の人間はやめておいたほうがいい。
帯広は、和洋問わずお菓子やさんが充実している。
六花亭やクランベリーなどいくつもの菓子店の本店が帯広にはある。
十勝平野などで新鮮な乳製品、卵などが安く手に入るからだろうか、値段もびっくりするほど安い。ケーキなどは東京の半額以下だ。
男のくせに甘いもの好きの自分は、もう一つの帯広名物「豚丼」には目もくれず、
一路、六花亭本店に向かう。
ここは有名なマルセイバターサンドだけでなく、和菓子やケーキがショーケースにたくさん並んでいる。店内にイートインスペースもある。
しかも安い。写真のレアチーズケーキやチョコレートケーキは一個170円くらいだった。
ここで是非食べておきたいのはサクサクパイ。賞味期限3時間というツワモノだ。
たしかにサックサクで美味かった。
夕食前なのに、ケーキ2個、サクサクパイ2個、バターサンド2個を完食してしまった…。
帯広のもう一つの名物、豚丼。
いくつか有名店がある。観光案内所に豚丼マップなるものがあるので参考に。
ホテルの人は、「あまりおいしいとは思わない」とか言ってた。
たしかに豚丼みたいなシンプルで味が似通ったものが、帯広だと特別美味くなるというわけがない。
しかし最近、食に関して妥協を許さなくなった自分としては、名物料理を食べずに帯広を去るわけには行かなかった。
そこで地元に愛されているお店といわれる某店に行ってみた。
真っ黒なたれに面食らったが、味はそこそこいけた。
ただちょっと少なくないか?薄い豚肉4きれほど。で700円。
大盛りもあるが高い。
帯広から東京まで電車で帰るのに最も安い手段として,青春18切符を購入した。5回分で12000円くらい。
これは、全国の普通列車、快速列車に5日分乗れる貧乏旅行の最適な切符。
5日連続ではなくてもいいし、5人で一回ずつ使ってもいい。ただし夏は9月10日までしか使えない。
計画としては、帯広~札幌、札幌~函館、青森~秋田、秋田~新潟、新潟~新宿で使う予定。
五能線(青森秋田間)のリゾートしらかみの指定席も取れたので、とりあえず帰るめどはついた。
しかしいきなりトラブル。
ほんとうは、帯広から新得、そこから富良野を抜けて滝川まで行って札幌に入る予定だった。富良野をもう一度車窓から眺めたかったから。
なのに、富良野の手前で踏切事故があったらしく、新得からトマムの方に抜ける特急に代替輸送されることに。
特急で早く着くから普通の人は喜ぶだろうが、富良野を見られなくなった自分にとってはがっかりだ。
6両編成の短い特急が、トンネルだらけの区間を走っていく。
札幌到着。
都市圏では自分が興味をもつものはあまりないが,美味しい食べ物はたくさんある。
今日は駅ビルの上にあるラーメン共和国へ。
ここは、数店が投票によって選ばれ、売り上げを競っているいわばラーメンコンペエリア。
こってり派の自分は白樺山荘の味噌ラーメンを食べた。
腹にドカンとパンチが来るこってりさ。自分は大分気に入った。
今日もすすきののど真ん中のマンガ喫茶で一夜を明かす。数日前ここに強盗が入ったとのニュースを稚内あたりで見た。
すすきの祭りのせいか人は少なくて静かに安眠できた。
このあいだのマンガ喫茶とは別のところ。